オンラインショップ「ときいろ」

□状態：PCGS-AU Details/Mount Removed（旧サリバン・コレクション）

このコインはアンナン（現在のヴェトナム）で造られた中型の銀貨、保大宝鑑の2.5銭です。保大宝鑑はベトナム阮朝最後の皇帝だった保大（Bao-Dai）の時代に発行されたコインで、他のアンナン後期の金貨・銀貨と同様に、このコインもメダル的な性格を持っていました。

アンナンはフランスの植民地になっていたこともあり、アジアとしては珍しく、1800年代初頭から西洋基準の大型銀貨を造っていました。但し、上記のようにこれらのコインは庶民が一般に使用したものではなく、贈呈などの用途でごく僅かに造られたものです。しかも第二次世界大戦終結以降、フランスが撤退する折にその大半が持ち出されたうえ溶解されたと考えられ、現在ほとんど残っておりません。わずかに残されたコインも大半は首からかけるため上下に穴があいています。穴あけを免れたとしても多くは磨きや洗浄痕があって、鑑定会社のケースにおさまり且つ数字が付くものはとても希少です。特に大型コイン7銭は人気が高く、MS63程度の数字がつきますと銀貨ですら300万円を超える値が付くようになってきました。近年では5銭、7銭といった大型のコインだけではなく、本貨のような2銭や2.5銭、3銭といった中型の金貨・銀貨の値も上がってきました。
 
このコインはベトナム阮朝の最後の皇帝である保大統治下（1925-1945年）に発行された銀貨ですが、市場にはめったに出てきません。大変希少性の高いコインでクラウスのカタログにも未掲載です。店主は近年国内で開かれたオークションカタログで探したのですが、この銘柄を見つけることができませんでした。図柄も素晴らしく、オモテ面の龍は、1800年代に発行された嗣徳通宝や明命通宝に比べ躍動感が増しています。
 
ご覧のようにこのコインの評価はAU Detailsで数字はついておらず、Mount Removed(かつて首飾りなど装飾品に仕立てるための加工跡あり)です。加工の跡は目立ちませんが、オモテ面の12時の位置「保」の上のフチにわずかにあります。（9番目、10番目の写真をご覧ください。）
それでもこのコインは穴があけられておらず、大変な希少品といってもよいでしょう。
 
近年、中国コイン高騰によって、1800年代末から1900年代前半に造られたアジア諸国のコインに見直し買いが入りつつあります。本貨もアジアで発行された初期の銀貨として希少性が高く、これから折に触れ注目を集めるのではないでしょうか。