◇状態:ANACS‐MS62(AU/準未流通)
グプタ朝が衰退した7世紀以降、インドのコインは急速に衰退期にはいり、この時代のインドコインは、金貨や銀貨はもちろん銅貨ですらほとんど見るべきものはありません。おそらくこの時代、インドでは貨幣経済そのものが衰退してしまったのではないかと思います。その後インドで再び貨幣が活発に発行され始めるのは、12世紀にイスラム系の国家が成立して貨幣経済が活発になってからです。
本貨は10世紀から13世紀あたりに、インド南部のゴア中心とする地域にあったカバンダ朝で発行された小型の金貨パゴダです。当時のインドはようやく長い「コイン不毛の時代」から目覚め、打刻金貨の発行が始まったばかりの時代です。カバンダ朝はヒンドゥー教の国でしたが、イスラムが持ち込んだ貨幣経済の影響を受け始めていたのかもしれません。発行されたのはジャヤケーシー3世(在位12世紀末-13世紀初頭?)の時代で、オモテは躍動感のある、可愛らしいライオンの姿が描かれています。一方でウラは王の業績をたたえた5行の文字が、ナーガリー文字で描かれているそうです。
さてこのコインについてです。
ANACSの評価はMS62ですが、5、6番目の写真のようにライオンの顔が不明瞭です。またその反対側のウラ面も文字が潰れています、おそらく打刻の圧力が強すぎ、この部分がウラ/オモテ同時に潰れてしまったのだと思います。このように欠点はありますが、摩耗が少なくセンターに打刻された高状態のコインです。
このコイン自体さほど多く残っておらず、こうやって市場に出てくる機会はそれほど多くはありません。なお世界の金貨カタログ、フリードバーグによれば、この銘柄(Fr‐308)の価格ガイダンスはVF‐XFクラスで1500ドルとなっています。同時代の「ゾウさんパゴダ」のカタログ評価がVF‐XFクラスで650ドルですから、この銘柄の希少性がわかります。重さは4.5グラムほど、直径は19ミリほどの小型の金貨ですが、同時代の金貨に比べるとやや大ぶりです。図柄も面白く十分な時代感もありますから、インドの富裕化に伴って、今後人気化してゆくコインだと店主は思います。
なお先日(2024年5月)アメリカで開かれたオーククションで、同銘柄の同状態(ANACS‐MS62)が4枚同時に出品されましたが、落札額はハンマープライス3,200ドル、4,000ドル、4,400ドル、2,800ドルで、総支払額ベースではそれぞれ約65万円、82万円、90万円、57万円ほどになります。上記のように本貨は打刻時の欠点がありますのでお安くさせていただきました。
■最寄りの郵便局に「局留め」で発送できます。ご希望の際は、ご注文画面の「お届け先の入力」欄に、留め置きを希望される郵便局の情報をご入力ください。郵便局で受け取る際は、荷物の追跡番号と、ご本人だと証明できるもの(住所などが記載されているもの)が必要になります。
■サイズ:直径19ミリ、重さ約4.5グラム
■本貨は、アメリカの大手鑑定会社のANACS社の鑑定ずみケースに入っており、真贋は同社によって保証されておりますのでご安心ください。
■ゆうパック、もしくはクロネコヤマト便でお届けします。
■お支払いについて:本商品は銀行振り込みでお受けしております。
【ご注意!】掲載している文章(商品説明)や写真の、コピー・転用・流用は固くお断りします。