状態：NGC‐UNC Details／Cleaned（洗浄痕あり）
このコインはアンナン（現在のヴェトナム）の紹治帝（在位1841年から1847年）時代に造られた大型の銀貨（KM-291）です。
アンナンはフランスの植民地になっていたこともあり、当時のアジアとしては珍しく西洋基準の大型銀貨を造っていました。但し、このコインは庶民が一般に使用したものではなく、贈呈などの用途でごく僅かに造られたものです。しかも第二次世界大戦終結以降、フランスが撤退するおりにその大半が持ち出され手溶解されたと考えられ、このコインは現在ほとんど残っておりません。わずかに残された物の大半は首からかけるため上下に穴が開いており、穴あけを免れたとしても多くは磨きや洗浄痕があって、鑑定会社のケースにおさまり且つ数字が付くものはとても希少です。
ご覧のようにこのコインの評価はUNC Detailsで数字はついておらずCleaned（洗浄痕あり）です。今でこそコインの洗浄は、コインの価値を下げる行為と広く認識されていますが、ヨーロッパのコイン文化が入ってくる前までは、アジアではこのような洗浄は一般に行なわれていました。この銘柄を含むアンナンのコインも例外ではなく、大半のコインは鑑定会社のケースに入ると、このようにCleanedやSurface Hairlineなどのコメントがつきます。それでもこのコインは穴が空けられておらず、まずまずの希少品といってもよいでしょう。
さてこのコインについてです。
オモテ/ウラともストライク（打ち）が鮮明できれいにセンターに打たれています。オモテ（龍面）の拡大写真のように、龍の胴体のウロコ部分にわずかな摩耗が見られますが、摩耗の進み具合は軽微です。ウラ（文字面）のフィールド部分も古い時代に洗浄された痕跡がみられますが、摩耗は少なくキズやスレ、加工された痕跡も見られません。概して良いコインだと思います。
なおNGC社は紹治通宝７銭銀貨を、すべてのバラエティあわせ32枚鑑定していますが、内訳は以下の通りです。
MS62：1枚
AU58：2枚
AU55：3枚
AU53：2枚
AU50：2枚
UNC Details：9枚 ←ココです
AU Details：12枚
XF Details：1枚
アンナンはアジアでは珍しく、すでに1800年代の初頭からこのような世界基準の大型銀貨が発行されました。近年、中国コイン高騰によって、1800年代終盤から1900年代前半に造られたアジア諸国のコインに見直し買いが入りつつありますが、本貨もアジア最初期の大型銀貨で希少性が高く、これから折に触れ注目を集めるのではないでしょうか。
ご参考までにですが、たとえば1900年代初頭に発行された中国コインの中には、数万枚という単位で鑑定されている銘柄がありますし、1800年代後半に日本で発行された円銀も、全年銘合わせると1万枚以上が鑑定されています。それらと比べるとこの銘柄の残存数の少なさがわかります。
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■サイズ：直径41ミリ、重さ約26.7グラム
■本貨は、アメリカの大手鑑定会社NGC社の鑑定ずみケースに入っており、真贋は同社によって保証されておりますのでご安心ください。
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