□状態:PCGS-AU55(EF)
本貨はアンナン(現在のヴェトナム)で発行された中型の銀貨です。
アンナンはフランスの植民地になっていたこともあり、当時のアジアとしては珍しく西洋基準の丸い銀貨や金貨を造っていました。但し、この時代の金貨や銀貨は庶民が一般に使用したものではなく、贈呈などの用途でごく僅かに造られたものです。しかも第二次世界大戦終結以降、フランスが撤退するおりにその大半が持ち出されたうえ溶解されたと考えられ、現在ほとんど残っておりません。わずかに残されたコインも大半は首からかけるため上下に穴があいています。穴あけを免れたとしても多くは磨きや洗浄痕があって、このコインのように鑑定会社のケースにおさまり且つ数字が付くものはとても希少です。
このコインは中型の2.5銭銀貨(1/4両)、1両は10銭ですので1/4両は2.5銭になります。中型の銀貨ではありますが、ご覧のようにPCGS社の鑑定でAU55の数字が付いています。なおPCGS社の鑑定分布によりますと、この銘柄の数字付コインは8枚のみ、内訳はMS63が3枚、AU58が2枚、そしてAU55が本貨をふくめ3枚です。同時代に同じアジアで発行された中国コインに比べると、鑑定数は桁違いの少なさで、残存もかなり少ないはずです。
オモテ面は人気の龍図で、ウラには「嗣徳通宝兆民頼之」と刻印されています。その意味は「嗣徳通宝(本貨のことです)は広く国民に信頼されている(素晴らしいコインである)」といったところでしょう。
さてこのコインですが、ウラ/オモテともヘアラインやスレがなく、しっかりとした圧で打たれていて状態は良いです。全体的にダークなトーンが均一に乗っていて好感が持てるコインです。ただ一点ご注意いただきたいのは、オモテ面(龍面)6時の位置、フチの部分に小さな穴があり、直径0.5ミリほどの小ささで見過ごされてしまうかもしれませんが、おそらく人為的に打たれたものではないかと店主は思います。ウラ面の写真をご覧いただいてお分かりおように、この穴は表面のみで止まっておりウラ面には達していません。鑑定会社PCGSは、Detail評価とするほどの欠点ではないとみているようですが、「ときいろ」では小さい欠点と考えて価格を少し低く設定させていただきました。ただし最近では上下に大きな穴があいたアンナンでも驚くほどの高値を付ける傾向がありますし、アンナンは残存数が少なく本貨のように数字が付くだけで希少品です。
ここのところインド、ミャンマー、カンボジア、タイなど、1800年代後半のアジアコインの相場水準は大幅に訂正された観がありますが、いちはやく値上がりしたアンナンのコインも、その数の少なさからあいかわらず人気を集めています。本貨は中型コインではありますが持っておかれてソンはないでしょう。
■サイズ:直径約36ミリ、重さ約9.42グラム
■本貨は、アメリカの大手鑑定会社であるPCGS社の鑑定ずみケースに入っており、真贋は同社によって保証されておりますのでご安心ください。
■ゆうパックもしくはクロネコヤマト便でお届けします。
■お支払いについて:本商品は銀行振り込みか、クレジットカード決済でお受けしております。
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