状態:ANACS-MS62(UNC−/未流通−)
このコインはクシャノ・ササン朝時代の3世紀に発行された金貨ディナールです。
ササン朝ペルシアはAD230年前後にクシャン朝が支配するインド北部に侵入し、その後この地域を支配下に置きました。それ以降ササン王朝が藩王を置いて支配したため、この地域は「クシャノ・ササン朝」と呼ばれています。もともとガンダーラと呼ばれるこの地域は、クシャン朝インドの支配下にあったのですが、ヴァスデヴァ2世時代(在位AD240-270年)から弱体化し、上記のようにこの地域をササン朝に奪われてしまったのです。
このコインはインド北部に侵入したクシャノ・ササン朝が、ヴァスデヴァ時代のディナールを模して作ったと考えられています。
さてこのコインについてです。
4、5番目の写真のように本貨は薄く平たく杯状に成形されています、この点ではクシャン朝のヴァスデヴァ時代のディナールと比べ明らかな違いがあります。クシャン朝のディナール同様7グラム強の金貨ですが、直径が25ミリほどもあるのがこの銘柄の特徴です。
ご覧のようにウラ/オモテとも使用痕はさほどなく、キズや変色、削り痕などの欠点も見えません。凹状になったオモテには、クシャノ・ササン朝以前にこの土地を支配していたヴァスデヴァ王の肖像が打たれ、コインのフチの部分にも同王の名前が刻印されています。ヴァスデヴァは三日月形の宝石が付いた三角形の兜を被り、全身にクシャン風の鎧を身に着けています。
凹になっているウラ面には、ヒンドゥー教の神様シヴァが牛に腰掛けており、これはあきらかにササン朝ではなくクシャン朝のデザインです。ササン朝に起源をもつクシャノ・ササン朝が、なぜこのようなクシャン朝的デザインを採用したのか不明ですが、現地に同化する意思が働いたのかもしれません。
この銘柄はペルシア的要素とインド的要素が混在した歴史的にも面白いコインです。金の純度は不明ですが、同時代のインドコインの事例や色合いなどから考えて、おそらく90%程度の純度はあったと思います。であれば金の地金価格だけでも10万円ほどに価値はあるので、1800年ほども前に発行された金貨がこの程度の価格で入手できるのはなんだか不思議です。
なお本貨を鑑定したANACS社は、大手の中で唯一古代インドを鑑定できる会社す。NGC社は古代コインを鑑定しますが、クシャン朝/グプタ朝など古代インドは鑑定できません。
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■サイズ:直径約25ミリ、重さ約7.2グラム
■本貨は、アメリカの大手鑑定会社ANACS社の鑑定ずみケースに入っており、真贋は同社によって保証されておりますのでご安心ください。
■ゆうパック、もしくはクロネコヤマト便でお届けします。
■お支払いについて:本商品は銀行振り込みでお受けしております。
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