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状態：NGC-MS61（AU＋／準未流通＋）

スペイン王アルフォンソ13世（在位1886年-1931年）時代に発行された大型の金貨です。アルフォンソ13世は生まれた時点で父王（同12世）が亡くなっていたため、誕生と同時にスペイン王に就きました。アルフォンソ13世は本貨が発行された1897年に11歳だったので、本貨の肖像もまた11歳時点のものだったと思います。上記のような事情で同王コインの肖像は乳児時代、幼児時代、そして少年時代（本貨）、青年時代の4種があります。

この銘柄はもともと1897年のみ発行されましたが、1961年（810枚）と1962年（6,000枚）にも再発行（リストライク）されています。この2年号はオリジナルの刻印を使って打たれており、オリジナル貨/リストライク貨の区別はつきにくいのですが、オリジナルはオモテ面の年号の左右にある☆の中に「18」「97」と打たれており判別できます。

なお発行枚数は以下の通りです。

・1897年（オリジナル）：150,000枚
・1961年（リストライク）：810枚
・1962年（リストライク）：5,000枚

市場での相場はオリジナル貨の方が随分と高く、クラウスのカタログ（Standard Catalog of World Coins 6th Edition）によりますと以下の通りです。なおMS60を超える状態の評価は記載がありません。

・1897年（オリジナル貨）：MS60⇒3000ドル
・1961年（リストライク貨）：MS60⇒1850ドル
・1962年（リストライク貨）：MS60⇒1700ドル

さてこのコインについてです。

拡大写真のようにアルフォンソの口の横からホッペのあたりにキズがありますし、オモテのフィールドにも細かいキズはありますが、そのほかの隆起部分、たとえば髪や耳あたりに摩耗は見られません。なお本貨はセミ・プルーフライクで撮影する角度によって随分と印象が変わります。そのあたりに配慮してオモテは角度を変えて多めにアップさせていただきました（1〜4枚目の写真をご覧ください）。

ウラも細かいキズはありますが摩耗は軽微できれいです。ウラ/オモテともオリジナルの輝きをとどめており、特にウラ面のフィールド部分はきれいに輝いています。MS61ですから未流通とはいきませんしそれなりのキズもありますが、それらを踏まえてもこの銘柄にしては高状態です。

なおNGC社によってこの銘柄は166枚鑑定されていますが、その内訳は以下の通りです。

MS64：1枚
MS63：6枚
MS62：24枚
MS61：27枚  ←ココです（上位35％以内）
MS60：19枚
AU58：37枚
AU55以下: 51枚（38枚のDetails評価を含む）

オリジナル貨は1897年の単年発行ですし、本貨の状態は上位1/3あたりでマズマズです。また少年像は描かれたコインは珍しく、この値段なら持っておかれて損はないと思います。なお「ときいろ」では3年前（2022年）に本銘柄の同鑑定（NGC-MS61）を598,000円で販売しましたが、その後の金価格と金貨の相場上昇によって当時の価格では販売できなくなってしまいました、ご参考までに当時の金価格は1グラムあたり7,700円程度でした、それが現在は16,500円ですから随分と値上がりしたものです・・・

なお現在（2025年4月16日）の金価格は1グラム＝約16,500円で計算すると、本貨の地金価格は税込み47.5万円ほどになります。