状態:ANACS‐MS62(AU/準未流通)
グプタ朝が衰退した7世紀以降、インドのコインは急速に衰退期に入り、この時代のインドコインは金貨や銀貨はもちろん銅貨ですらほとんど見るべきものはありません。おそらくこの時代、インドでは貨幣経済そのものが衰退してしまったのではないかと思います。その後インドで再び貨幣が活発に発行され始めるのは、12世紀にイスラム系の国家が成立して貨幣経済が活発になってからです。
本貨は10世紀から13世紀あたりに、インド南部のゴア中心とする地域にあったカバンダ朝で発行された小型の金貨パゴダです。当時のインドはようやく長い「コイン不毛の時代」から目覚め、打刻金貨の発行が始まったばかりの時代です。カバンダ朝はヒンドゥー教の国でしたが、イスラムが持ち込んだ貨幣経済の影響を受け始めていたのかもしれません。発行されたのはジャヤケーシー3世(在位12世紀末〜13世紀初頭?)の時代で、オモテには躍動感のある可愛らしいライオンの姿が描かれています。一方でウラは王の業績をたたえた5行の文字が、ナーガリー文字で描かれているそうです。
さてこのコインについてです。
ANACSの評価はMS62で、この銘柄にしてはかなりの高評価です。この銘柄はオモテのライオン君が不明瞭な個体が多いのですが、本貨はご覧のようには明瞭かつ中央に打たれています。ウラは少しセンターがずれていますが、ご覧のように打刻は悪くありません。摩耗に関しても特にオモテが綺麗ですし、キズや洗浄痕なども見えません、大きな欠点がなく良いコインです。
このコイン自体さほど多く残っておらず、こうやって市場に出てくる機会はそれほど多くはありません。なお世界の金貨カタログ:フリードバーグによれば、この銘柄(Fr‐308)の価格ガイダンスはVF‐XFクラスで1500ドルとなっています。同時代の「ゾウさんパゴダ」のカタログ評価がVF‐XFクラスで800ドルですから、この銘柄の人気の高さがわかります。
重さは4.5グラムほど、直径は20ミリほどの小型の金貨ですが、同時代のインド金貨に比べるとやや大ぶりです。図柄も面白く十分な時代感もあります、インドの富裕化に伴って今後人気化してゆくコインだと店主は思います。
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■サイズ:直径20ミリ、重さ約4.5グラム
■本貨は、アメリカの大手鑑定会社ANACS社の鑑定ずみケースに入っており、真贋は同社によって保証されておりますのでご安心ください。
■ゆうパック、もしくはクロネコヤマト便でお届けします。
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