オンラインショップ「ときいろ」

□状態：NGC-MS63+(UNC+)

フランスはアジアの植民地だったインドシナ（仏領インドシナ＝French Iido-China）で、1885年から本銘柄（ピアストル）を発行し始めます。この貿易銀はフランスが東アジアでの貿易決済用に発行されたもので、1928年まで発行され続けました。貿易品の決済目的に発行されたため、他国が発行した貿易銀と同じくこのピアストルも大量に発行されました。年によって発行枚数は異なりますが、概ね300万枚から1300万枚強というオーダーで造り続けられました。そのような事情もあり、この銘柄は今でもたくさん市場に出てくるのですが、その使用目的から想像できるように状態の良い個体はさほど多く残っていません。
 
NGC社の評価で本貨はMS63+となっています。以下は1925年銘の本銘柄の鑑定分布です。
 
MS64: 2枚
MS63+: 1枚　←ココです
MS63: 4枚
MS62: 13枚
MS61: 12枚
MS60以下: 21枚
 
なお総鑑定数は53枚（2021年8月現在）です。ご参考までにピアストルすべての年号の総鑑定数は2,434枚となっており、上位鑑定は以下の通りです。
 
MS67: 1枚
MS66: 12枚　
MS65: 91枚
MS64: 145枚　
MS63+: 7枚　←ココです
MS63: 264枚
MS62: 366枚
MS61：以下 1,548枚
 
以上から、以下のことがわかります。
 
・仏印ピアストルは全年号あわせ1億枚以上発行されているわりに鑑定枚数は少ない。ほぼ同じ時代に発行された明治1円銀貨と似た性格を持っており、発行枚数もさほど大きな差はない、にもかかわらず鑑定枚数が少ないのは、おそらく大半が溶解され残存枚数が少ないのではないでしょうか。
 
・高鑑定コインが意外と少ない点。
 
さてこのコインですが、「最初の写真」や「写真8」をご覧いただいてお分かりのように、ゴールデンがかった美しいトーンがウラ／オモテとも全体に乗っています。また摩耗やキズも少なくNGC社の評価MS63+は妥当だと思います。
 
近年同時代に発行された中国コインの値上がりによって、近年このピアストルは急速に見直し買いが入っています。最近の国内オークションでも1909年銘のMS63が17万円（手数料込みで18.8万円）出落札されるなど、値上がりが目立つコインです。それでも中国コインとの価格差はまだ随分とあります、今後もチャイナマネーの流入が期待できると考え店主は買い付けました。有望な領域だと思います。