オンラインショップ「ときいろ」

□状態：NGC-AU58（AU）

ブラジルのリオデジャネイロで1730年に発行された大型金貨です。
このコインはよく知られたコインですが、3つの製造所で造られたことはあまり知られていません。最も一般的なものはミナス・ジェライス（Minas Gerais）で造られたコインで、おもて面の年号の上にMのミントマーク（製造所を示すマーク）が刻印されています。逆に最も製造枚数が少ないのはBのミントマークが刻印されたバイーア（Bahia）で造られたコインです。本貨は4番目の写真でお分かりのようにRのミントマークが刻印されており、これによってリオデジャネイロで造られたコインだとわかります。
 
一般的に皆さんが目にされるコインは、Mのマークが打たれたミナス・ジェライス鋳で最も多く残っていて、逆に最もレアな鋳造所はバイーアです。本貨リオデジャネイロ鋳はバイーア鋳に比べると少し多いのですが、それでも極めて希少性が高く、日本国内では滅多に出会う機会はありません。ご参考までにNGC社による鑑定分布（2020年12月現在）を調べてみますと、ミント別の鑑定数は以下の通りでした。
Ｍミント：208枚
Ｒミント：47枚
Ｂミント：23枚
 
かりに「ときいろ」が、Mミントの同銘柄かつ同状態のコインを販売するとしたら、おそらく70万円代の半ばになると思います。
 
次に本貨の年号について説明しますと、6枚目の写真にあるように年号として1730/29と打たれていますが、これはもともと1729年に発行するつもりで造っていたものの上から、何らかの都合によって年号を1730年に上書きした（ogerdate）ことを意味しています。実際に4番目の写真でもお分かりのように、よくみると3の文字の下にうっすらと2の文字が見えます、このオーバーデートはKMカタログにも記録がなく、いわゆる「カタログ未掲載」銘柄です。ただしコインの価値をさほど上げるものではありません、今のことろは・・・
 
それよりも本貨の価値はリオデジャネイロで造られた希少ミント（製造所）であるという点にあります。ちなみにカタログ価格を比べてみますと、もっと数が多いミントマークM（ミナス・ジェライス鋳）は、KMカタログでXF40クラスが6000ドルとなっていますが、本貨Rミント（リオデジャネイロ鋳）の価格は、XF40クラスで9000ドルと（いずれもクラウスのStandard Catalog of World Coins/7^th edition）なっています。
 
同様にまたフリードバーグ著のカタログ（Gold Coins of the World/9^th edition）によると、MミントのEFクラスが4500ドルであるのに対し、本貨Rミントは10,000ドルの評価です。ちなみにBミントならEFクラスで15,000ドルの評価です。おなじ12,800レイスでも、ミントマークによって随分と値差があることがおわかりいただけたと思います。
 
さて、このコインの状態はNGC社の評価でAU58ですが、店主はアンダーグレード（評価不足）だと思います。この銘柄はアジャストメントマークといって、コインができあがったあとに重さを調整するためコインの表面を軽く削り取ることによってできるキズがあるものが多いのですが、ご覧のように本貨にはそのアジャストメントマークがありません。またおもて面のフォアン5世のカールした髪の毛も摩耗痕がほとんど見られません。更にうら面のポルトガルの紋章である十字状に配された5つの□（まんなかに小さく●がうたれ、四辺にも●が打たれているデザイン）をみても、□の中の横格子が残っていて良い状態です。
 
NGC社の鑑定分布では、この「Rミント1730/29年」の鑑定総数は5枚しかありませんが、本貨AU58は最高鑑定（ただし同率に3枚あります）です。
ご参考までにオークション会社の本貨に対するコメントは以下の通りです。
「この未使用状態に近いコインは、鑑定されたコインのうち最高鑑定のなかの1枚であり、また弊社が2013年のRLMコレクションでこの銘柄をオークションにかけて以来、本貨は最高のコンディションです」